やしちの読書レビュー

元大型書店コミックフロア責任者によるレビューブログ

感想『亜人 1巻』

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こんにちは、やしちです。

 

今回は「亜人 1巻」の感想になります。既刊をまとめがいしています。

「もくじ」

死ねばわかる

鮮烈なキャッチコピーでアニメ化、映画化もされました。

 

まずこの漫画を読む上で前提となる『亜人』とはなんなのか。

 外見は通常の人間と同様だが、死亡した際には即座に蘇るという驚異的な再生能力を持つ存在。ただし死に至らない限り再生能力は発揮されないため、例えば手足を失ってしまった場合には一旦死亡することでしか再生することはない。したがって人間は死亡するまで、自身あるいは他者が亜人であるということを知ることが出来ない。(wikiより)

つまり一度死なないと自分が亜人かどうかわからないということですね。

 

亜人についての設定がとても細かく、引用部分だけでは書ききれません。

亜人は懸賞金がかけられている

先のように亜人は死んでも生き返ってしまうため畏怖の対象とされています。しかしその特異性から研究材料として高額の懸賞金もかけられています。

 

主人公の永井くんはある日トラックにひかれるまで自分が亜人だとは思っていませんでした。

 

しかし、一度ひかれて死んでしまい、生き返ることで亜人だと判明します。

 

今まで自分には関係ないと思っていた亜人が、まさか自分もだとわかったとき。永井くんの逃亡劇がはじまりました。

ドライな主人公?

すごい頭がよく合理的で行動的でも、永井くんのような高校生は日本に一人もいないでしょう。

 

というのも1巻を読んでいると彼の性格は結構ブレています。

 

たとえば自分を懸賞金目的に捕獲しようときた人間を心配するシーン。永井くんは友人のケイくんとともに逃避行していてそのケイくんが殺されかけます。

 

それでも殺されかける前までは「これをしたら自分を追ってきた人間が死ぬかもしれない」と心配します。

 

しかし1巻最後では自分の大切な人に危害が及んだらソイツを殺すとも言っている。

 

コミックとしてみるとキャラクターが固まっていないようにも思えます。1巻の永井くんは自分は『亜人』であるということを受け入れるところ、でしょうか。亜人になると性格も変わるのか?

 

それともドライを装った熱血なのか?考え方が変わった、ということでしょうか。

佐藤さんと田中氏

この二人も亜人で田中氏は国の研究機関で残虐な人体実験の被験者でした。それを知った佐藤さんが田中氏を助けます。

 

その場にいた研究員を皆殺しにして。そして亜人の権利を確立するべく佐藤さんの計画に力を貸すことにした田中氏。

 

私はこの田中氏が一番人間の感覚にリアルだと思います。

 

体をプレスされたりわけのわからない薬を投与されたりしていくら生き返るとはいえ恨まないことはありえません。

 

普通であれば復讐を考えるでしょう。

 

私は人間ですが主人公よりもこの二人のほうに私は感情移入してしまいました。

戸崎(トサキ)と下村さん

フリスクを一度に大量に摂取する戸崎とクールだけれどどこか抜けている下村さん。この下村さんは亜人なんですね。まつげ長いな。

 

研究機関側の人間なのに被験者になっていないのには何か理由があるのでしょう。暗殺者などの知識や戦闘にも長けているようです。

 

田中氏と下村さんは黒い影みたいなミイラみたいなのでの戦闘シーンがあります。

 

生身の人間であればワンパンチで殺せるパワーを持っているようですが、1巻では何なのかわかりません。

 

永井君の妹を警護していた警官は完全に捨て駒ですね。戸崎はこの影のことを知っていただろうし。

グロ注意

本編では人体の切断や田中氏の人体実験など、残虐なシーンが多く見られます。亜人の不死身との比較なのでしょう。描写がかなりリアルです。

 

社会のアングラな部分(不良が女の子を襲ったり人間のお金への汚さなど)も出てくるので、苦手な人は避けたほうがよさそうです。

キャラ付け

1巻ですしキャラクター付けの段階なのでしょう。それにしても「かっこつけすぎ」なところも多いです。よく言えばスタイリッシュ。

 

頭がいい人とそうではない人の対比もはっきりしています。0か100か。強い弱いも同じですね。

編集後期

ハリウッド映画でありそうな人物設定というか、キャラクター付けというか。漫画の手法ではないように思えました。

 

亜人という設定はかなりユニークだと思います。死なない、不死身がテーマなものはありましたが、それが絶対強者ではなく捕獲される側というのは珍しいのでは?

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。