村上海賊の娘 1巻
こんにちは、やしちです。
今回は「村上海賊の娘 1巻」の感想を書いていきます。
「もくじ」
原作は小説
原作は和田竜原作で新潮文庫で出版されました。同名小説となります。時代小説のコミカライズです。
和田竜といえば最近ですと「忍びの国」や少し前の「のぼうの城」の作者です。この二つは映画化されたました。
のぼうの城は小説で読みましたが、合戦の描写がとても巧みでまた、主人公ののぼう様と甲斐姫のかなわぬ恋の描き方も秀逸でした。
戦国時代の海賊
舞台は瀬戸内海。村上海賊の娘こと、村上景は腕っ節の強いおてんばで知られていました。
海賊の海域で勝手をするとタダでは済みません。それを知っているにも関わらず、村上海賊の海域で悪行を犯した一団。本願寺へ兵糧を仕入れる門徒の荷船を乗っ取っていました。
この船に気がついた景。悪党どもを一網打尽にします。
もうこの強さはまさに時代劇ですね。負ける気がしないというやつです。もうどっちが悪役かわかったものではない。
そこで助けた門徒の源爺とちびっ子の留吉に、大阪まで連れて行ってほしいと頼まれます。大阪は本願寺の居城があり、織田信長と戦の最中でした。
この留吉の肝の据わり方が子供のそれではないです。それとも戦国時代はこれが普通なのか?人の命の価値が安い時代です。
決断を迫られる毛利
場所を移して毛利家の評定。
本願寺から毛利に兵糧の仕入れを依頼に使者が来ます。その量なんと十万石!
十万石!わからん。でも毛利のみなさんが驚いているのでとてつもない量なのでしょう。
本願寺に兵糧を仕入れるということは、織田と敵対することを意味します。勢いのある織田と今は敵対したくなく毛利の頭脳、小早川隆景と、そんなの関係ねぇな毛利の猛将、吉川元春。
この兄弟の対比はどの小説でも書きやすいんだろうなと。性格が間逆なんですよね。後々天下を取る豊臣から評価されるのは小早川隆景のほうです。
吉川元春の勢いに家中が傾き、結局本願寺につくことになった毛利。しかし、十万石もの兵糧をいかにして仕入れるのか。毛利の船だけでは足りません。そこで村上海賊を頼ることになります。
小早川隆景の臨機応変さはすごいですね。自分の案が受け入れられなければ決まったことの中で最善を尽くす。却下された自分の意見はもう捨ててしまう早さ、決断もすごいです。合理的な人だったのでしょうか。
村上海賊への使者として、毛利警護衆(毛利水軍)を束ねる児玉就英と小早川隆景の信頼も厚い乃美宗勝が選ばれます。
乃美宗勝といえば隆景の家臣筆頭みたいな人ですよね。毛利の時代小説を読むと必ず出てきて活躍される人です。なおこのコミックではおじいさん…。
村上へ向かう途中、先ほどの仕置きの最中の景たちと出くわします。イケメン就英に惚れた景。その仕置きというのが、焼印をおでこにつけるというもの!それを見た就英は「不快だ」と一蹴。
むしろ不快なのが普通の感情だと思うの。このとき景は大喜びです。読者の私もドン引きです。現代の感覚から見ると美人がコレをするわけですから。一部の人以外喜ぶ人はいない。
アレを嫁とか冗談じゃない!
村上海賊は過去、戦で毛利のピンチを救ったことがあります。しかしその数年後、なんと毛利は村上海賊を治めようと攻めてもいます。恩をあだで返しているわけです。
実は女性が戦の船に乗ることは掟で禁止されています。景はそれを当然知っていて破ったため兄にガッツリ怒られました。ここで父親であり当主の村上武吉は男親だから娘を怒れないと。
だからおたくの娘さん大変なことになってるんじゃないかな。お兄さん損な役回りですね。海賊衆はいかにも「海賊」なビジュアルですが、武吉はイケメンです。これが当主との差か。
その武吉。毛利に味方してもいいけど条件として娘の景を就英の嫁にしてねと条件を出します。しかしコレを就英は即断ります。誰があんな醜女と!
いや見た目は美人ですよ。実は胸も大きい。ただ性格がアレなだけで。戦国時代の美人の規格がオカメ顔だから仕方がないのか。しつこいようですが、性格はアレです。
イケメン海賊を探しに大阪へ
助けた源爺から大阪では景は美人にカテゴリーされると聞いて、俄然行く気になった景とそれに嫌な予感しかしない弟(兼世話役)の景親。
景親は景に海賊らしさを全部持っていかれていますね。不憫で仕方がない。とめなかったことを兄に怒られるとかね。あの姉は止めれないでしょ。
ここで、景を「鬼手」と言う描写がありますが、これが何のことはわかりません。
毛利家へ帰った就英と宗勝の二人。嫁にもらうとか絶対に嫌と断言していましたが、なんやかんやあって丸め込まれます。
就英どんだけイノシシ武者なんだよ。ていうかここで元春もなかなかの策士っぷりを発揮しました。
景が船で戦をするのは昔、瀬戸内海で好いた男と戦った鶴姫伝説に憧れているからでした。
意外と乙女な部分もありますね。
難波までやってきた景と源爺、留吉たち一向。大きな安宅船と出くわします。船の戦車みたいなものです。船には織田家中の太田兵馬が乗船していました。海賊同士の掟を知らない太田は景を殺めようとしますが返り討ちにあいます。
海の中で斬首するって発想がスゲー。危険なところでアイロンかけるあの競技に通じるものがある。
そこで安宅船の主である眞鍋七五三兵衛がのっそり登場して終わりです。
イケメンとはいえない。ていうか体大き過ぎ。どこの巨人ですか。
編集後記
景は海賊らしい残酷さも兼ね備えていますが、道理に外れたことが嫌いです。本来、源爺や留吉を助ける必要もなかったはず。いくら掟があるとはいえ。
自分の信念を曲げずに弱気を助けるという正統派歴史コミックという感じです。
あとは時折見せる年頃の女性らしさ、かわいさもあります。いたずらっ子がそのまま大きくなったような。
ストーリーも歴史のとおり進んでいくのではないでしょうか。そう考えると結末は…。
最後まで読んでいただきありがとうございます。